香港で犬同伴OKの飲食店が980店超へ|変わり始めた“犬と暮らす街”

香港で犬同伴OKの飲食店が980店超へ|変わり始めた“犬と暮らす街”

2026年7月、香港で犬との外食をめぐるルールが大きく変わりました。

これまで香港では、盲導犬など一部の例外を除き、飲食店への犬の立ち入りは原則として認められていませんでした。

しかし2026年7月9日から、香港政府の許可を受けた飲食店について、犬を連れて入店できる新しい制度がスタートしました。

制度開始時の対象店舗は940店超。その後も参加店舗は増え、8月には980店を超えています。

ただし、すべての飲食店に自由に犬を連れて行けるわけではありません。

今回は、香港で始まった新しい「犬同伴飲食店制度」について、対象店舗や店内での具体的なルールを紹介します。

 

犬同伴できるのは「許可を受けた店舗」だけ

犬を連れて入店できるのは、香港のFood and Environmental Hygiene Department(FEHD)から正式に許可を受けた飲食店です。

対象店舗には、犬同伴が認められていることを示す表示が掲示されます。

そのため、犬を連れて外食する場合は、事前に対象店舗であることを確認する必要があります。

また、許可を受けた店舗であっても、

  • 犬同伴可能な曜日

  • 利用できる時間帯

  • 犬が入れる店内エリア

  • 犬を座らせる場所

などについて、店舗独自のルールを設定できます。

「許可店舗なら、いつでも店内のどこでも犬同伴可能」という制度ではありません。

 

リードは1.5m以内

犬を店内に連れて入れる際は、リードによる管理が必要です。

香港のルールでは、犬は1.5m以下のリードにつなぎ、大人が管理することが求められています。

または、店舗内の安全な固定場所につなぐ方法も認められています。

つまり、店内で犬をノーリードにしたり、自由に歩かせたりすることを認めた制度ではありません。

飲食店という公共性の高い空間であるため、飼い主による管理が前提となっています。

 

調理エリアや食品取扱エリアには入れない

衛生面についても明確なルールがあります。

犬は、

  • 調理室

  • 食品の準備を行う場所

  • 食材を保管する場所

  • その他食品を直接扱うエリア

には立ち入ることができません。

犬同伴可能なのは、基本的に客席など食品を直接扱わないエリアです。

オープンキッチンなど、客席と調理スペースが近い店舗についても、それぞれ条件が設定されています。

 

犬をテーブルに乗せることは禁止

犬を食事用のテーブルに乗せることも認められていません。

さらに、普段人間が使用する再利用可能な食器を、そのまま犬に使わせることもできません。

犬に水や食事を与える場合は、

  • 飼い主が犬用の容器を持参する

  • 店舗が用意する犬専用の使い捨て容器を利用する

といった方法が基本になります。

店舗が包装済みのドッグフードなどを販売することは可能ですが、店内で犬用料理を調理することには制限があります。

 

卓上での火鍋や焼肉にも制限

香港の制度で特徴的なのが、卓上加熱についてのルールです。

犬同伴を認める飲食店では、客席のテーブル上で火や加熱器具を使用するサービスには原則として制限があります。

具体的には、

  • 火鍋

  • 卓上コンロ

  • 焼肉

  • その他テーブル上で加熱する料理

などです。

犬が近くにいる環境で、火や熱い鍋による事故が起きるリスクを抑えることが目的です。

つまり香港の制度は、衛生面だけではなく、犬と人双方の安全まで含めて設計されています。

 

すべての犬が対象ではない

香港の法律上、「fighting dog」や「known dangerous dog」に該当する犬については、犬同伴飲食店を利用することができません。

犬同伴を広く認めながらも、安全面については一定の線引きを行っています。

 

店舗ごとの独自ルールも設定できる

許可店舗は、行政が定めた共通ルールに加えて、独自の利用条件を設定できます。

例えば、

「犬同伴はテラス席のみ」

「平日のみ犬同伴可能」

「犬は床または専用マットで待機」

「1組につき犬は○頭まで」

といったルールです。

そのため、実際に利用する際は、店舗ごとの条件を確認することが重要です。

 

香港が目指す「ペットインクルーシブな社会」

香港政府は今回の制度を、ペットと人が共存しやすい「pet inclusive society」を進める施策のひとつとして位置づけています。

単純に犬を入店可能にするだけではなく、

犬を連れている人。

犬を連れていない人。

犬が苦手な人。

飲食店で働く人。

それぞれが同じ空間を利用できるよう、事前にルールを細かく決めています。

実際に制度開始後も、対象店舗を増やしながら運用が続いています。

 

日本の犬同伴飲食店との違い

日本にも、犬同伴可能なカフェやレストランは多く存在します。

ただし香港の今回の取り組みで特徴的なのは、行政が統一した制度として犬同伴飲食店を認可していることです。

対象店舗を明確にする。

入口に表示する。

リードの長さを決める。

食品エリアへの立ち入りを禁止する。

店舗側と飼い主側のルールを定める。

こうした仕組みを行政が設計したうえで、犬同伴という選択肢を広げています。

ペットフレンドリーな街をつくるためには、「犬が入れる場所を増やす」だけではなく、犬を連れている人とそうでない人が共存するための具体的なルールづくりも重要です。

香港の新しい制度は、世界の都市が今後、犬との暮らしをどのように社会に組み込んでいくのかを考えるうえでも興味深い事例といえそうです。

 

参考文献・出典

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