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犬と暮らしていると、「今の気持ちを分かっているのでは?」と思う瞬間があります。
笑っていると近づいてきたり、少し険しい表情をしているとこちらの様子をうかがったり。
そんな犬と人間のコミュニケーションについて、興味深い研究が発表されました。
2026年8月、ウィーン大学の研究チームが、犬の脳が人間のさまざまな表情をどのように処理しているのかを調べた研究結果を発表しました。
今回の研究から見えてきたのは、犬が単純に人間の表情を「良い」「悪い」の2種類に分けているだけではない可能性です。
研究では、訓練された家庭犬に覚醒した状態でfMRI装置の中に入ってもらい、人間の顔写真を見せながら脳活動を測定しました。
最初の実験では8頭の犬に、「笑顔」と「無表情」の人間の顔を提示。
すると笑顔を見たときには、側頭皮質から尾状核にかけて特徴的な活動が確認されました。
これらは、高次の認知処理や報酬処理に関係するとされる領域です。
研究チームは、この反応について、人間の笑顔が犬にとって何らかの感情的な意味を持っている可能性を示していると考えています。
さらに研究チームは12頭の犬を対象に、
喜び
怒り
恐怖
悲しみ
という4種類の表情を見せ、脳活動を機械学習によって分析しました。
その結果、笑顔に対する脳活動は、3種類のネガティブな表情とは異なる特徴を示しました。
ここまでは「ポジティブか、ネガティブかを区別している」と考えることもできます。
しかし、さらに犬の脳全体の活動パターンを分析すると、「恐怖」と「怒り」、「恐怖」と「悲しみ」の間にも異なるパターンが確認されました。
つまり犬の脳は、少なくとも一部のネガティブな表情についても、同じものとして処理しているわけではない可能性があります。
ここは少し注意が必要です。
今回の研究から、
「犬は人間の悲しみを人間と同じ意味で理解している」
と結論づけることはできません。
研究で確認されたのは、人間の表情によって犬の脳活動に異なるパターンが現れた、ということです。
実際の生活では、犬は顔だけを見ているわけでもありません。
声のトーン、体の動き、匂い、その場の状況など、さまざまな情報を組み合わせて人間を見ています。
研究チームも今後、犬がこうした複数の情報をどのように統合して人間を理解しているのかを調べていくとしています。
犬と人間が一緒に暮らすようになってから、非常に長い時間が経っています。
その過程で犬は、人間とコミュニケーションを取る能力を発達させてきました。
今回の研究で面白いのは、犬が人間の表情に反応するという行動だけではなく、そのとき犬の脳内で異なる情報処理が起きていることが示された点です。
愛犬がこちらをじっと見ているとき。
もしかすると私たちが思っている以上に、犬は人間の表情を細かく見ているのかもしれません。
Brott JOURNALではこれからも、世界で発表される犬に関する研究やニュースを紹介していきます。
世界の犬を知る。
犬との毎日をもっと楽しむ。
※本記事は、2026年8月に学術誌「iScience」に掲載されたウィーン大学などの研究チームによる研究、およびウィーン大学の発表内容をもとに構成しています。