メルマガ登録
メルマガ登録ですぐ使える5%OFFクーポンプレゼント。新色情報やお得なキャンペーンなどお届けします!
ダックスフンドといえば、長い胴と短い脚。
その独特な体型から、椎間板疾患、特にIVDD(Intervertebral Disc Disease:椎間板疾患)への注意が必要な犬種として知られています。
ただ、ダックスフンドならすべて同じようなリスクを持っているのでしょうか。
2026年7月、英国・ノルウェー・デンマークのダックスフンド4,295頭を対象に、毛質とサイズによって脊椎の健康状態に違いがあるかを調べた研究が発表されました。
そこで特に目立ったのが、スムースヘアで脊椎の健康指標が悪い傾向が一貫して見られたことです。
今回は、この研究結果を整理しながら、なぜ毛質が背骨と関係する可能性があるのか、そしてダックスフンドと暮らすうえで日常的に何を意識すればよいのかまで見ていきます。
研究では、ダックスフンドを、
スムースヘア
ロングヘア
ワイヤーヘア
の3つの毛質に分け、さらに、
スタンダード
小型(ミニチュア+カニンヘン)
というサイズ区分も組み合わせて分析しました。
英国では飼い主が報告した椎間板疾患の有無を、ノルウェーとデンマークではX線で確認された椎間板石灰化数を脊椎健康の指標として使っています。
つまり単に「病気になったか」だけでなく、椎間板そのものにどの程度変化が起きているかまで見ています。
3か国すべてで共通していたのが、スムースヘアのダックスフンドです。
スムースヘアは、ロングヘアやワイヤーヘアよりも悪い脊椎健康指標と関連していました。
研究全体では、スムースヘアが悪い脊椎健康指標を示すオッズは、他の毛質に比べておおよそ1.8〜2.6倍の範囲でした。
英国のデータを見ると、飼い主が椎間板疾患の兆候を報告した割合は、
小型ロング:約19.8%
小型ワイヤー:約27.6%
小型スムース:約35.1%
スタンダードロング:約10.4%
スタンダードワイヤー:約15.6%
スタンダードスムース:約33.8%
でした。
ここでも、スムースヘアの高さが目立ちます。
一方、サイズについては結果が一貫しませんでした。
小型の方が悪いグループもあれば、スタンダードとの差がほとんど見られないグループもあります。
今回の研究では、「小型だからリスクが高い」というより、「毛質の違いの方が一貫していた」と見る方が正確です。
毛質とサイズを組み合わせると、さらに特徴的な結果が出ています。
小型スムースは、他の毛質・サイズとの15回の比較のうち12回で、より悪い脊椎健康指標を示しました。
英国では、小型スムースがスタンダードロングに比べて悪い脊椎健康指標を示すオッズは4.64倍。
ノルウェーでは、小型スムースがスタンダードワイヤーに比べて5.40倍でした。
もちろん、この数字をそのまま「病気になる確率が5倍」と読むことはできません。
国ごとに使っている指標や集団が違うためです。
それでも、小型スムースという組み合わせが複数の国で悪い方向に出たことは、今後の研究や健康管理を考えるうえで重要な結果です。
毛の長さや質と、椎間板。
一見するとまったく関係がなさそうです。
でも犬の見た目を作っている遺伝子は、見た目だけに働いているわけではありません。
ダックスフンドの毛質には主に、
FGF5
RSPO2
という遺伝子が関係しています。
特に研究者が注目しているのが、ワイヤーヘアに関係するRSPO2です。
RSPO2はWNT/β-cateninというシグナル経路を活性化します。
この仕組みは、椎間板の発達や維持にも関係しています。
犬では、WNTシグナルの低下が早期の椎間板変性と関連することも知られています。
そのため研究チームは、ワイヤーヘアを作る遺伝的背景が、結果的に椎間板にも保護的に働いている可能性を仮説として挙げています。
一方、スムースヘアに関係するFGF5が脊椎健康に何らかの不利な影響を持っている可能性も考えられています。
まだ仕組みが確定したわけではありませんが、毛質の違いが背骨の健康とつながる可能性は、かなり興味深いポイントです。
ダックスフンドのIVDDリスクでよく知られている遺伝子が、FGF4L2です。
この遺伝子変異は、軟骨異栄養や椎間板疾患リスクと関連しています。
そこで研究チームは、
「スムースヘアにFGF4L2が多いから、今回の差が出たのではないか」
という可能性も確認しました。
しかし、2026年時点で3,580頭分の遺伝子データを調べたところ、スムースヘアだけFGF4L2の頻度が高いという傾向は確認されませんでした。
つまり今回の毛質差は、FGF4L2だけでは説明できない可能性があります。
毛質を決めるFGF5やRSPO2など、複数の遺伝的な違いが関わっている可能性がありそうです。
今回の研究から、
「スムースヘアだから必ずIVDDになる」
「ワイヤーヘアなら安心」
と考えるのは適切ではありません。
IVDDの発症には、遺伝だけでなく、
年齢
体重
筋肉量
運動
生活環境
個体差
など、さまざまな要素が関わります。
今回分かったのは、同じダックスフンドという犬種の中でも、毛質やサイズによって脊椎の健康傾向が同じではない可能性があるということです。
特にスムースヘア、なかでも小型スムースについては、日常の健康管理や早期発見を少し意識しておく意味がありそうです。
遺伝そのものを変えることはできません。
でも、日常生活の中で背骨への余計な負担を減らし、身体を支える筋肉を維持することはできます。
まず大切なのが体重管理です。
余分な体重は関節や背骨への負担を増やします。
ダックスフンドでは、太らせず、適度に筋肉がついた状態を維持することが重要です。
一方で、運動を減らしすぎるのもよくありません。
毎日の散歩など、無理のない範囲で定期的に身体を動かし、筋肉を維持することが背骨を支える助けになります。
意識したいポイントは、
適正体重を保つ
無理のない散歩を続ける
高い場所からの飛び降りを減らす
ソファやベッドにはスロープやステップを使う
階段を頻繁に上り下りさせない
滑りやすい床にはマットを敷く
などです。
抱き上げるときも、胸だけを持ち上げるのではなく、胸とお尻の両方を支えて、背中をなるべく水平に保つようにします。
重要なのは、「動かさない」ことではなく、大きな衝撃を避けながら、適度に身体を使うことです。
IVDDというと、突然後ろ脚が動かなくなるイメージがあります。
でも、その前に痛みや動きの変化としてサインが現れることがあります。
たとえば、
いつもより動きたがらない
散歩を嫌がる
ソファや階段を避ける
抱き上げると嫌がる、鳴く
背中を丸めた姿勢になる
震える
首や背中を動かしたがらない
歩き方がぎこちない
といった変化です。
「今日は少し元気がないだけかな」と見過ごしやすいサインも含まれています。
だからこそ、日頃からその犬のいつもの動き方を知っておくことが大切です。
そして最も注意したいのが、後ろ脚の動きです。
後ろ脚がふらつく
左右の脚が交差する
足先を引きずる
つまずく
歩くと腰が左右に揺れる
といった神経症状が見られたら、脊髄への圧迫が始まっている可能性があります。
この段階では、できるだけ早く獣医師へ相談したいところです。
ダックスフンドは椎間板疾患に注意が必要な犬種です。
でも今回の研究を見ると、それだけでは少し大ざっぱです。
スムース。
ロング。
ワイヤー。
スタンダード。
ミニチュア。
同じダックスフンドの中にも、少しずつ違いがあります。
そしてその違いには、見た目だけでなく、身体の中の遺伝的な背景も関係しています。
今回の研究で分かった毛質差は、犬を怖がって見るための情報ではありません。
むしろ、
どんな犬なのかをもう少し詳しく知り、毎日の暮らし方や身体の変化に目を向けるための情報
として使う方がいいと思います。
遺伝は変えられません。
でも、
太らせない。
適度に運動する。
高い場所からの飛び降りを減らす。
滑りにくい環境を作る。
歩き方の変化に早く気づく。
こうしたことはできます。
犬の見た目を知ることから、身体の中を知ることへ。
そして、研究を日常の健康管理につなげることへ。
今回のダックスフンド研究は、そんな見方を教えてくれる結果です。
Hopper M, Liu CX, Embersics C, Otamendi A, Sullivan S.
“Dachshund spinal health by coat and size type.”
Journal of Veterinary Internal Medicine, 2026.
https://academic.oup.com/jvim/article/40/4/aalag153/8747539
Cornell University College of Veterinary Medicine
“Intervertebral Disc Disease”
American College of Veterinary Surgeons
“Intervertebral Disc Disease”
Dachshund Health UK
“Dachshund spinal health by coat and size type”