2026年にAKCが新たに公認した3犬種とその歴史

2026年にAKCが新たに公認した3犬種とその歴史

るくるした被毛の小さな犬、茶色の毛に包まれた短い脚の猟犬、引き締まった体を持つアメリカのテリア。2026年1月1日、米国のアメリカン・ケネル・クラブ(AKC)が、この3犬種を新たに公認しました。

名前は、ロシアン・ツヴェトナヤ・ボロンカ、バセット・フォーヴ・ド・ブルターニュ、テディ・ルーズベルト・テリア。いずれも以前から人と暮らしてきた犬種です。今年のニュースを入り口に、その姿と、人との関わりから生まれた特徴を見ていきましょう。

犬種の公認とは何か

今回の公認は、3犬種がAKCの正式な登録犬種となり、それぞれの所属グループでドッグショーに出場できるようになった、ということです。犬種の誕生日とは異なります。

例えば、バセット・フォーヴ・ド・ブルターニュは国際畜犬連盟(FCI)では1963年に公認済みです。テディ・ルーズベルト・テリアも、米国のユナイテッド・ケネル・クラブ(UKC)では1999年に公認されています。同じ犬種でも、団体によって登録や公認の時期が違うのです。

そのため、海外の「新しい犬種」というニュースは、どの団体が、いつ公認したのかを読むと内容がつかみやすくなります。今回注目したいのも、突然登場した珍しい犬という話より、それぞれの土地で受け継がれてきた犬たちの歴史です。

 

ボロンカは人のそばで暮らすために育まれた犬

ロシアン・ツヴェトナヤ・ボロンカは、ロシア原産の小型犬です。長い名前は、おおよそ「ロシアの色のついた愛玩犬」という意味。ボロンカという呼び方でも親しまれています。

特徴は、豊かな巻き毛や波打つ被毛。茶色や黒などの毛色があり、口元のひげと丸みのある輪郭が印象的です。AKCの紹介では体重は7〜9ポンド、約3〜4キログラムとされています。

犬種づくりが進んだのは1950年代のレニングラード、現在のサンクトペテルブルクでした。人の膝の上でくつろぎ、集合住宅でも一緒に暮らせる小さな伴侶犬を目指し、マルチーズ、ボロニーズ、シー・ズーなどの小型犬もその成立に関わっています。

AKCは、ボロンカを人と過ごすことが好きで、明るく社交的な犬として紹介しています。同時に、飼い主と課題に取り組む競技やトレーニングも楽しむ犬です。小さな体で抱かれている姿だけでなく、一緒に遊び、何かを覚える姿にも目を向けると、この犬らしさが見えてきます。

被毛の手入れも暮らしの一部です。ふんわりした毛を保つには、継続的なブラッシングなどが必要になります。写真のかわいらしさと合わせて、日々触れ合いながら世話をする時間も想像したい犬種です。

 

バセット・フォーヴ・ド・ブルターニュは鼻を使う猟犬

フランスのブルターニュ地方に由来するこの犬は、短い脚、垂れた耳、粗く硬い被毛が特徴です。毛色は黄金色に近い小麦色から赤茶色まで。FCIの犬種標準では、体高は基本的に32〜38センチメートルとされています。

「バセット」は、フランス語の「低い」に由来する言葉です。同じバセットという名前でも、よく知られるバセット・ハウンドとは別の犬種で、こちらには粗い毛ならではの素朴な表情があります。

FCIの資料によると、19世紀には原産地域で広く親しまれていました。においをたどり、ウサギなどの獲物を探す嗅覚型の猟犬です。小さな体でも活発に動き、起伏のある場所で働く体力を持つ犬として記されています。

暮らしを考えるうえでは、この鼻の働きが大切な手がかりになります。AKCは、興味を引かれるにおいを追いかける性質や、小動物を追う傾向を紹介しています。散歩ではリードで安全を確保し、呼び戻しを練習することが役立ちます。

一方で、その得意分野を楽しみに変える方法もあります。においを使って物を探す遊びなどは、犬が持つ力を生かす選択肢です。短い脚の見た目から運動への意欲を決めつけず、実際の動きや集中する様子を知りたくなります。

 

テディ・ルーズベルト・テリアは農場で働いた犬

3犬種目は、アメリカで育まれたテディ・ルーズベルト・テリアです。短く滑らかな被毛、短い脚、横から見ると長方形に近い筋肉質の体を持っています。

その背景にあるのは、家や農場でネズミなどを捕らえる仕事です。ラット・テリアと共通の歴史を持ち、かつては脚の短い「タイプB」と呼ばれていました。その後、独立した犬種として特徴が整理されていきます。

名前は、米国第26代大統領セオドア・ルーズベルトに敬意を表して付けられました。大統領自身がこの犬種を作った、という意味ではありません。

AKCは、好奇心があり、飼い主と活動することを楽しむ犬と紹介しています。障害物を走り抜けるアジリティや、においを使う競技などにも取り組む犬種です。短毛で小柄な姿からは想像しにくいほど、行動することが似合います。

同時に、家族とくつろぐことも好むとされています。一緒に遊ぶ時間と休む時間の両方がある暮らしを考えると、働き手としての歴史と、家庭犬としての現在がつながって見えてきます。

 

公認までには犬を支える人たちの活動がある

AKCの公認には、犬種の特徴を示す「犬種標準」、血統の記録、米国内の犬の数や広がり、その犬種を代表するクラブなどが関わります。犬が存在するだけで、自動的に登録される仕組みではありません。

公認を目指す犬種の記録を管理する制度として、ファウンデーション・ストック・サービス(FSS)があります。そこから段階を踏み、クラブの活動や出場実績などを積み重ねて正式な公認へ進みます。

ボロンカがFSSに入ったのは2015年、テディ・ルーズベルト・テリアは2016年でした。2026年という同じ公認年の後ろにも、それぞれ異なる道のりがあります。新犬種の発表は、繁殖や飼育の記録を残し、特徴を伝えてきた人たちの活動を知る機会でもあります。

 

犬種を知るときは暮らしの場面まで想像する

今回の3犬種を比べると、同じ小柄な犬でも、人との関わり方が多様だったことがわかります。家庭での親密な時間を大切にされてきた犬、においを追って人と歩いてきた犬、農場で小動物を捕らえてきた犬。それぞれの歴史は、今日の遊びや世話を考えるヒントになります。

もちろん、犬種の説明は傾向を知るための入り口です。実際に迎えるなら、運動や被毛の手入れに使える時間、住まいの環境を整理し、その犬をよく知る人から普段の様子を聞くことが大切です。

知らなかった犬の名前を一つ覚えたら、写真に続いて、その犬が何をして人と暮らしてきたのかも調べてみる。見た目の違いに歴史が重なると、犬の世界はもう少し面白く見えてきます。

参考資料

More posts